セカンドオピニオンの実態
日本の医療制度では患者が医療機関において診察、治療を行なう場合、一人の医師を主治医として継続した関係を構築して行くのが原則です。外来受診から入院生活を送るケースにおいてもこの原則が適用されるのが一般的であると言って良いでしょう。患者は主治医に対して全般的信頼を抱いて診察、治療を任せている訳ですが、治療の経過が患者にとって思うように進まない時、ほかの医師の意見も聞いてみたいと感ずるのが自然の成り行きでしょう。これをセカンドオピニオンといいます。メディアにもこの言葉が多く扱われており、日本の医療界でも浸透しつつあります。複数の医師の意見を聞いて参考にし患者自身がベストと思われる治療方針を選択できる制度は医学界の発展のためにも有益なものと思います。
セカンドオピニオン制度は診察ではなく相談と定義付けられるため公的な健康保険制度の適用を受けることはできません。そして主治医にセカンドオピニオンを利用したい旨を告げて診察や検査、入院の全記録を他の医師に提供してもらうことになります。このことは現在の主治医との信頼関係に終止符を打ち新たな医師のもとで治療を再開すると言うことであり、患者にとっては非常に大きな決断を迫られることになります。決断を誤ると相談医から納得の行く治療法や病状についてのコメントを得ることができないばかりでなく情報提供をお願いした主治医との信頼回復は困難となり今まで積み重ねてきた治療が水泡に帰すことになりかねません。現在セカンドオピニオンと言う言葉が手軽に使われているような気がしますが患者にとって有益な情報ばかりが得られるわけでは有りません。こういったことを考えると、意外とセカンドオピニオン制度は使いにくいように感じます。フットワーク良く自分に合った担当医を探すことができるような体制をつくれないものかと感じます。